Concept / はじめての方へ
ご訪問ありがとうございます。染色作家の木村むつみです。
2025年1月、念願だった伝統工芸士の試験に合格し、
活動名を旧姓の奥野むつみから木村むつみに変更いたしました。
職人を志し早15年、感慨深いものがあります。
さて、私と着物との出会いは3歳の頃。親戚の結婚式で御所解の着物に袖を通し、
色とりどりの和柄に憧れて千代紙を集めるような子どもでした。
お洒落に興味を持ち始めると、夢中になったのがアンティークやリサイクル着物の世界。
洋服と自由に組み合わせ、お気に入りのアクセサリーを身に着けるように、
ファッションとして楽しむ着物に惹かれていきました。
時を経て迎えた成人式で、伝統文化への憧れが再燃。
ホテルで接客の仕事をしながら着付師を志す中、
大学で日本画を学んだ経験を買われて染の庵たかはしに弟子入りし、友禅の道を歩み始めました。
師匠から学んだのは、着る絵画とも言える情緒豊かな作風。
故郷・福井の季節のうつろいに思いを馳せ、
東洋絵画の流れをくむ技法を後世に伝えたい、と強く願うようになりました。
独立を後押ししたのは、イマジンワールドと取り組んだベラルーシの伝統文様を活かした一着。
着物を通し、海外の人々をおもてなしするというコンセプトのもと、
技に誇りを持ち、新しいものを生み出そうとする職人たちの誇りに触れ、
継承の価値を改めて感じました。
伝統を守る努力を重ねつつ、自己表現を叶える着物も染め上げたい。
尊いご縁の中で辿り着いた理想は、お客様の美しさを引き出すハレ着を、
ふたつの思いからお届けすること。
着る人の立場や役割を表現し、場を華やかにする「正装」としての着物。
それとは対照的な、個性、感性、生き様を映し出す、
自分が主役になれる「盛装」としての着物。
自分を誇りに思える一着を目指して、誠心誠意努めて参ります。